パリの交通関係でスゴい Σ(・ω・ノ)ノ と思ったのが、このヴェリブ(vélib')と呼ばれるレンタサイクルシステム。
2005年にフランスのリヨン(Lyon)で導入されたヴェロブ(vélo'v)と呼ばれるレンタサイクルシステムが成功を収めたのがきっかけで、ヨーロッパの多くの都市では近年レンタサイクルシステムの整備が急速に進んでいます。パリも2007年にヴェリブ(vélib':名前似てんな~笑)というレンタサイクルシステムのサービスを開始、現在では世界最大のレンタサイクルシステムとなっています。
上の写真のような24時間365日利用可能の自転車ステーションが、道路沿いに約300mごとの間隔で設置されており、パリ市内におよそ1,800ヶ所のステーションがあるので、あるステーションから別のステーションへの自転車の乗り捨ても簡単に可能になっています。
ヴェリブで使用されているのは、日本の一般的なママチャリ型の自転車(ヨーロッパでこの形は珍しいと思う)を、デザインや防犯面、耐久性の面において強化した感じの自転車。サドルの高さは調整でき、スタンドやカゴもついていて、ブレーキも日本と同じくハンドルレバー式、なんとギアの変速までついているという本格仕様(笑)。ライトが前だけでなく後にもついており、こいでいる間は常時点灯しています。自転車及びレンタサイクルシステムのデザインは、世界的に有名な広告代理店のJCドゥコー(JCDecaux)社とデザイナーのパトリック・ジュアン(Patrick Jouin)が、パリ市とタッグを組んで担当し、このようなカッコよく便利な自転車&自転車システムが出来上がりました。
このJCドゥコーという会社、日本ではあまり知られていない様に思われますが、調べてみると結構面白い会社であることがわかります。
元々ヨーロッパでは、都市の景観が持つ文化的価値を経済的価値として活用していく考えが重要視されており、景観を壊すような広告を設置することは市民の権利を侵害するということと同義とみなされていることもあって、屋外広告に対する規制が非常に厳しいことで有名です。フランスでも1979年に広告や看板のデザインを規制する最初の法律が制定されると、街に安易に広告を掲示することはできなくなり、現在でも歴史的建築物の周辺500m圏内で、歴史的建築物が見える範囲における広告の設置は禁止されています。ゆえにこのJCドゥコー社のような『屋外広告会社』というジャンルの会社が生まれ、「いかに街の風景に広告をなじませるか」という考えを中心に事業を展開しています。
JCドゥコー社が手がけたもので有名なのがバス停の広告。パリの街中ではよく見かけるものです。
このバス停広告は、1964年にフランスのリヨンで立ち上げられたJCドゥコー社が、当時のリヨン市内のバス停に目をつけたことが始まりです。当時のリヨンのバス停はバス停であることを示すポールが立っているのみで、人々がバスを待っている間に雨風をよけるものは何もありませんでした。そこに注目したのがJCドゥコー社の創業者であるジャン=クロード・ドゥコー(Jean-Claude Decaux)氏。ドゥコーさんは、JCドゥコー社の全額負担で屋根付きバス停を作り、さらにその清掃もJCドゥコー社が担当するという案をリヨン市に提案しました。屋根付きバス停とその維持費用はバスシェルターに設置する広告収入から得るという考えです。この方法は、広告に関する規制が厳しいフランスの都市で、JCドゥコー社が多くの広告を設置できるまたとない良い機会であり、リヨン市にとっても支出を気にせず市民生活の向上が実現できる良い機会でもありました。JCドゥコー社にもリヨン市にもメリットがある、当時斬新だったこのアイデアは、1976年にJCドゥコー社が街のバス停や公共施設の広告運営権を25年間得る契約をリヨン市と結ぶと、すぐさま実現化され、市内に屋根付きバス停を次々と設置、市民と密接な関係にあるバス停に広告を設置した効果は絶大で、以後フランスの各都市と同様の契約を結んでいき、JCドゥコー社は屋外広告会社として大成功を納めました。 オオーw(*゚o゚*)w
このように、JCドゥコー社は創業時から自治体と密接な関係を築いてきたので、屋外広告を軸とした様々な事業を自治体と共に実施してきました。そのうち、近年の目玉事業の一つがこのヴェリブと呼ばれるレンタサイクルシステムなのです。
さて、じゃあこのヴェリブはどうすれば利用できるのか??q|゚Д゚|p
ヴェリブを利用する際に必ず必要なのが『ICチップ付きのクレジットカード』。
ヴェリブを利用するためには1年有効の定期券を買うか、短期間用のチケットを買わなければならないのですが、定期券やチケットを買えるのは街中の自転車ステーションに設置されている『ボンヌ(Borne)』と呼ばれる自動券売機か、ヴェリブの公式サイト(英語あり)からのみ。またボンヌではICチップがついたクレジットカードじゃないと手続きができません。現金が使用できる窓口は無いので、利用する際は要チェックです φ(.. )。ちなみに利用できるのはVisa、Mastercard、JCB、American Expressのクレジットカードなので、日本で作られた大抵のカードは大丈夫な感じ。
これがボンヌ。
こんな感じで液晶画面とキーボード、クレジットカード差し込み口があります。
定期券やチケットの種類はヴェリブの公式サイトに載っています。
これによると、料金(2011年11月現在)は
長期利用者用定期券(1年間)
・ヴェリブ・クラシック(英:Vélib' Classic、仏:Vélib' Classique)
29€。自転車を借りて最初の30分は毎回無料。
・ヴェリブ・パッション(英:Vélib' Passion、仏:Vélib' Passion)
39€。自転車を借りて最初の45分は毎回無料。
ユース特待
・ヴェリブ・パッション - 14~26歳用
(英:Vélib' Passion for 14-26 years old、仏:Vélib' Passion 14-26 ans)
29€。利用内容はヴェリブ・パッションと同じ。申請時にパスポートか身分証明書が必要。
・ヴェリブ・パッション - 奨学生用
(英:Vélib' Passion for scholorship students、仏:Vélib' Passion 14-26 ans Boursiers)
19€。利用内容はヴェリブ・パッションと同じ。申請時に奨学生証が必要。ヴェリブ・エクスプレスとの併用は不可。
短期利用者用チケット
・1日券(英:1-day ticket、仏:Ticket 1 jour)
1.70€。利用内容はヴェリブ・クラシックと同じ。
・7日券(英:7-day ticket、仏:Ticket 7 jour)
8€。利用内容はヴェリブ・クラシックと同じ。オンラインで使用開始日の指定が可能。
の種類がある模様。
ネットでカード購入の手続きを完了させたい場合は、ナビゴ(Navigo:パリのメトロ、バス、近距離区間内のRERが一定期間乗り放題になる定期券、パリ市内のメトロ駅で購入可能)かヴェリブ・エクスプレス・カードが必要です。
実際にボンヌでチケットを購入し、自転車を借りる際の一連の流れは以下のサイトに載っていますので、利用しようと思っている方は参照することをオススメします。
・ふらんすノート26. Velib'に乗ってパリを走ろう!
http://www.cahierdeparis.com/1_article_1100
ヴェリブの自転車を利用する際に気をつけなければならないのが、借りる際に自転車が壊れてたりパンクしてないかチェックすること。
意外と状態の良い自転車は少ないらしいです (´Д⊂)。でも別に壊れていたら30分以内は無料なので、また返して別の自転車に乗り換えれば済む話なのですが。
定期券もしくはチケットを購入したら、カード利用は最初の30分(ヴェリブ・パッションの場合は45分)は無料で、それをオーバーすると次の30分まで1€、それをまたオーバーすると次の30分まで2€、それをまたオーバーするとそれから30分ごとに4€かかります。
すなわち、旅行者が1日券で利用した場合
30分以内=無料
60分以内=1€
90分以内=3€
120分以内=7€
150分以内=11€
180分以内=15€
…
といった感じで料金が加算されて行きます。
こういう仕組みを取っているのは、自転車が盗難に遭うのを防止するためでもあるんだとか。w(゚o゚)w オオー!
ヴェリブを採用したパリ市だけあって、自転車道の整備も急速に進んでいます。
こちらは車の交差点の中心にある自転車の交差点。
車道の中央に自転車道が配置されている面白い仕組みとなっています。
パリは意外と歩いてまわることが多かったので、結構歩き疲れてしまいました。このレンタサイクルを借りていれば、もっと楽にまわれたと思います。パリに来た際は是非利用してみてはどうでしょうか?ズワエも次回行くときは利用するつもりです。v( ̄∇ ̄)v
参考文献
・今夏はレンタサイクを Velib’ | パリ発フランス情報ハヤクー::hayakoo
http://www.hayakoo.com/velib/
・JC Decaux(JCデコー社)とフランス屋外広告事情 | 地中海ブログ
http://blog.archiphoto.info/?eid=544624
・Paris - Velib' - velos en libre-service a Paris - Site Officiel
http://en.velib.paris.fr/
・ふらんすノート26. Velib'に乗ってパリを走ろう!
http://www.cahierdeparis.com/1_article_1100
・Velib' Bike Rentals - Paris for Visitors
http://europeforvisitors.com/paris/articles/paris-bike-rentals.htm
・自治体と契約し街を媒体にする屋外広告の雄 ジェーセーデコー(JCDecaux)社 | MediaSabor メディアサボール
http://mediasabor.jp/2007/10/jcdecaux.html
・パリ レンタサイクル velib の借り方について
http://yaplog.jp/mahaaaaaloha/archive/135
今日のひとことフランス語 (*^・ェ・)ノ
Qu'est-ce que c'est?
ケスクセ
「これは何ですか?」と尋ねる疑問文です。英語で言う "What is this?"、ドイツ語で言う "Was ist das?" に相当します。この「ケツ臭」(笑)とも聞こえる疑問文、実は英語で忠実に訳すとすると "What is what there is?" となり、日本語で忠実に訳すとすると「そこにあるところのものは何ですか?」というマワリクドイ文になっています。実はフランス語は発音の割には貴族生活の影響のせいか、分析してみるとお固い文が多いらしく、このような文法構成になっているんだとか。なにはともあれ、フランス語では「これは何?」的な間隔で使えるので、ケーキ屋でスゴいデコレーションで一体何ケーキなのか分からない時などに使ってみてはどうでしょうか?笑